酉年最後の日となった。秋冬のさまざまな遠征も一昨日で一段落。静かな年の瀬である。今年が集大成となった事業もあり、新たにスタートした事業もあり。ダンスを巡ってお付き合いの続いている方、お付き合いの始まった方、いずれもたくさんおられて、思い思いの笑顔や照れたしぐさ、弾ける時の遠くを見る目などが心に浮かぶ。どの方も、穏やかな年末をお迎えになったのであればそれ以上のことはない。また来年どこかでお目にかかれること、たとえそれが決まっていることでなくても、楽しみに待てること、それ自体が嬉しい。
変わらぬものとはなんだろう。そもそもそんなものはあるのだろうか。あるとしたらどんな匂いで、どんな影を伴っているのだろうか。そう言えばセレノグラフィカは今年結成20周年を迎えた。記念作として創作した『とこしえに』(初演:2017年2月@サントミューゼ《上田市交流文化芸術センター》)も、変わらぬものとは何か、を考える作品となった。11月にNPO法人DANCE BOXの依頼を受け「下町芸術祭2017 KOBE-Asia Contemporary Dance Festival #4」にて新長田の古民家(旧K邸)でこの作品を再演した際のこと。予定していた上演を全て終えて最後にお手洗いに行き初めて気づいたことがあった。壁に貼られていた一枚のカレンダー、大海原を行くヨットの写真のカレンダーは、1997年のものだったのだ。なので京都の北山でひっそりと旗揚げ公演を行った日取りも、このカレンダーには刻まれていた。この邸宅が空き家であったこの20年間と、セレノの活動の20年間が符合したように思え、不思議な感慨に見舞われた。
時間はこれからも重なっていくだろう、何があろうと。いろいろなことが起きるだろう、その最中に嬉しいと思えることであろうとなかろうと。それらをどう受け止め、何を知るのか。それが振付に、ナビゲートに、踊ることそのものに反映されるのだと思う。まやかしなど微塵も通用しない、また新しい一年がもうすぐやってくる。
(茉歩)
写真は我が家のぬいメンバーの一員、ペンギンのリリ。酉年の締めくくりということで、鳥類としてのご挨拶です。