2018年3月31日(土)月齢13.6 / やはり咲いてくれる

今年の桜は早い。気がついてみるとどこもかしこも満開だ。住んでいる町の、国道沿いの児童館に大木が何本もあるのだが、その中の一本などは既に葉桜の様相。年度末を彩る花びらが風に舞う。

この時期はどうしてもあちこちから異動や転職のお知らせが来る。親しい人からのメールや電話に胸騒ぎがしてしまう。事業にともに取り組んで、ほぼほぼ家族のようなお付き合いの方が、劇場とは異なる場で働くことを選ばれたり。文化事業を業務とすることは同じでも、ガラッと働き方を変えられたり。会う頻度、話す頻度は減るかもしれないが、お別れという気はしない。列車として、走る路線が変わっても、ちゃんと走行しているだろう、これまでと違うお客さんを乗せているとしても、誠実な発着をしているだろう、そう確信できるからかもしれない。

昨今のご時世、近況なんていくらだって知る手立てはあるけれど、黙ってその人の新しい暮らしを想像することは、確たるあてどがなくて却って楽しい。働く仲間が変わっても、その人の居場所の作り方はああなのだろうな、ホッとひと息つける新しいお店も、きっとあんな感じなのだろうな、などと。

車窓から見える山肌のところどころに薄いピンクの塊がはめ込まれている。こことここにこれだけ配置したから、もう少し離してここにも、とまるで意図されたかのように。

今どこかで、似たような風景を眺めている誰かとの出会いが、間近に迫っていることを果報だと思おう。明日から新年度だ。

(茉歩)

写真は数日前に見た桜。並木道を成していた一角の、可憐な表情です。