2017年8月26日(土)月齢4.4 /お盆を挟み

8月もいよいよ最終週だ。明日27日から今年度下半期の遠征ラッシュの火蓋が切って落とされる。心地よい緊張感が打ち寄せてくる。

今年のお盆は、神戸ダンスボックス留学6期生の短期プログラムの一つを担当。先月の合宿プログラム「ダンスアナリーゼ」は座学だったが、今回は身体を動かす。2年前の「振付理論と実践」でトライしたメニューをまた、とのことで、14と15の2日間14時間のワークに臨んだ。参加者日本人10名、外国人4名。タイトルは「入魂3秒をマークせよ!」。とっておきの短い動きを提出し、お互いに振り写しし、いくつかを選び、つなげ、アレンジしていく。このプロセスに一貫しているのは時間意識。墨守するにせよ撹乱するにせよ、振付時に、もちろん踊る時にも、けして無視できないのが時間との付き合い方だと思っている。参加者の人たちは皆、自らのK点を超えた取り組みをしてくれた。たった2日であったものの、終了時には同志と離れるような一抹の寂しさと、やりきった清々しさがあった。

お盆の後の束の間の休日を利用して、自宅の片付けに手をつけてみた。急務なのは紙類の整理なのだが、今回は衣類全般、そして普段は片付けるのを諦めている箇所へもメスを入れてみた。めったに開けない箪笥の中、たまにしか覗かない抽斗の中、エトセトラ。

不思議なのは、前に整理した時には手放せないと思ったものの何割かを、「もういいかな」と思えることだ。躊躇の気持ちが残るものはあえて触らず、未練のパーセントを確かめる。断捨離としてはかなり手緩い部類だろう。この、まるで判断力のトレーニングをしているかのような疲労感の中にも、思いがけない発掘物、出土物とでも言いたくなるような、意外な物との再会がある。

大学時代に下宿の友人たちと熱中した恋愛ドラマ。ヒロインの片想いの相手は年上の女性に想いを寄せていた。その彼のセリフに、「思い出すって、忘れてるってことなんですかね、忘れてないってことなんですかね。。」というのがあった。家の片付けで発掘物に再会するというきわめて個人的な幸せは、明らかに前者。忘れるのに必要な時間ってどれくらいなのだろう? 3秒、無理。3分、多分無理。3時間、もしかしたら可能。3日、おそらく可能。3ヶ月、却ってものによる。3年、きっと大丈夫。30年、摂理に任す。

(茉歩)
写真は、ダンス留学2日目の最後に、ダンスボックスの方が撮って下さった集合写真。今年はイスラエル、アルゼンチン、オーストラリア、トーゴからも留学生がいます。