2017年2月14日(火)月齢17.1 / 創作の日々

今日も烏帽子岳の頂は雪の白さを遠くまで光らせていて眩しい。上田でのレジデンスが始まり、二度目の休館日、オフである。連日細やかな創り込みにおつきあいくださっているサントミューゼのスタッフの皆さんも今日は休日。東信のおだやかな町は陽光に恵まれて、昼下がりは特に明るく、見晴らしが良い。
普段は3、4日のスパンでの移動が習慣化しているので、一週間ごとにきちんとやってくる休日が特に新鮮に感じられる。今日になったら買い物に行こうと、小さなメモ帳に品目を書いて待っていた。

折しもバレンタインとあって、劇場向かいのショッピングモールにはチョコやデコレーショングッズの棚がメインの場所を占拠している。そして冬物衣類にはほとんど70パーセントoffの値札がつけられ、真近な春の到来に備えて準備完了の趣である。

新作「とこしえに」は、今のところ途中休憩含む70分の作品に仕上がっている。目下磨き上げの最中である。サントミューゼ小ホールは品の良い音楽専用ホール。そこを、ダンスの空間に染めてゆく。セレノグラフィカとしては珍しく大型の舞台装置を用いる作品でもある。こちらも、カンパニーのテクニカルディレクターの岩村のリクエストに応えて、サントミューゼスタッフの方が丹念に製作してくださった。この装置と阿比留と3者で踊っていく感覚がある。

ここ数年、活動の中で各地に遠征する日常に恵まれているが、そこで触れ合う人々は紛れもなく我々にとって宝物で、自分たちの大切にしているものをお互いに交換しながらの時間を紡いでいる。情報媒体からは汲み取れない生の身体のサインは、容易に言葉に集約しきれないほど豊かで複雑でミステリアスだ。こういうものを是とする否とするというような性急なことではない、闇も光も溶け合っているようなさま。その無限のグラデーションがそのまま小ホールの空間に現れて欲しい。

あと数日。何も見逃さない。でも放流する。その流れそのものが行方を決めることだろう。

(茉歩)

写真は、先週のOFFに訪ねた別所温泉の北向観音から望んだ風景です。遠景の峰が烏帽子岳。