2016年10月1日(土)月齢0.1 / どこの国のものでもない風

今日から10月。今朝出発前の川根の旅館で流れていた朝ドラは、「トト姉ちゃん」の最終回だった。これからやってくる台風は秋台風に部類されるのだろう。

レインボードロップス本番翌日、福島は勿来へ移動、今年の作品を5年生25人と作り進める。身体に備わる愛嬌の磁力に目尻が下がる場面がしきり。翌日神戸では、今年度TMWツアーの最終調整リハーサル。チャンゴ奏者たちとは身の引き締まる緊張感と連帯感を、言葉に出さなくとも確かめ合う仲だ。毎年の秋の始めの儀式である。

そして翌日は京都木屋町アバンギルド。ウミ下着のパッピーラッキーレディオダンスという、何ともポップなタイトルの公演に誘って頂いた。ラジオのリクエスト曲がダンスになっているという面白い仕立て。「まだ名前もなくて」と題した短いソロを初演する。本番直前まで往生際悪く動線や動きの句読点をイメトレ。ここをスタートに、どんな風に道草したり疾駆したりしていくことだろう。

9月最後の日曜日は「夜のことば」の上映会。これについてはまた改めて。

そしてまた勿来、続いて三週間ぶりの川根。前回の滞在の時は大井川が濁流と化していたけれど、今回はあくまでも穏やか。朝のアウトリーチと夜の一般ワークとの間に、事業担当の女性が貸してくださった詩集を読む。装丁の美しい、布や紙に触れる喜びのある詩集。読むごとに手触りが加味されて、ことばの印象が何倍にもふくらむ。

風よ
どこの国のものでもない風よ
何の主張もせぬ旗を
ひるがえせ春の野に
『ごめんね』谷川俊太郎より

この詩は
この最終連に至る前段の重みが長い後味となった。

明後日から、大学も後期が始まる。

(茉歩)