2016年9月14日(水曜)月齢12.7 /「最初の質問」

大井川鉄道千頭駅から車で30分。山を分け入り、日本で二番目に星空の美しい里に着く。寸又峡温泉。川根本町文化会館の事業の際にはこちらが宿泊先となることが多い。宿のご主人ご一家との何気ない会話。桶風呂と絶品朝ごはん。ご一家の愛犬のお腹を撫でること。一日がそんな風にスタートして劇場へ向かう。

今回はパーカッショニスト前田啓太さんの公演へのゲスト出演だ。共演者は同じくパーカッショニストの藤原耕さん。地元川根高校の郷土芸能部の生徒さんが出演するPARTもある。私たちの今回のお題は、パーカッショニストお二人とダンサー二人の4名で、コラボレーション作品を創作上演すること。

流木を4人で叩くシーンを含んだ約30分の作品。川根の自然と、音や動きを感じる私たちの感覚そのものをつなぐことが軸。楽曲から即興まで、たくさんの楽器を鳴らす喧騒の瞬間から沈黙まで。無限の幅の中に私たちの動きが絡む。身体を滑り込ませていく。

近年クラシック音楽の演奏家の方とのコラボレーションの機会に恵まれることが増えた。その度にその作業の充実と喜び、と同時にある種の異言語感(贅沢!)も覚えるのだけれど、今回は血の近さ、のようなものを実感。「最初の質問」というタイトルは詩人の長田弘さんへの敬意に基づいている。

またどこかで上演したい。磨き込みの余地もそこかしこに顔を覗かせている。

(茉歩)

写真は宿の玄関前で見上げた本番の日の空