2016年7月12日(火曜)/ 廃材と「展覧会の絵」 滞在報告その3

ステージラボ上田セッションは、入門コース、音楽コース、演劇コースに分かれ、おのおの20名前後の全国の公共ホール勤務者が集まって研修を受けた。プログラム自体は年二回、開催地を変え、40回をゆうに超える開催実績を持っている。

私たちは今回は入門コースと音楽コースでゼミを担当させて頂いた。入門コースでは、コースのコーディネーター大月ヒロ子さんの発案で、劇場の廃材をモティーフにダンスを創るというもの。音楽コースはコースのコーディネーター小澤櫻作さんの発案で、音楽とダンスと演劇で「展覧会の絵」にアプローチするというもの。

いずれも、聞いただけではどうなるのかが予測できないツワモノ課題。しかも、時間はかなりタイト。しかし全国から集まった参加者の皆さんの真摯な取り組みで、時間感覚が狂うほどの仕上がりを見せて行く。着地点の見えていないことにひたむきに挑むという、この仕事をするにあたって最も大切なことの一つを、めいめいが掴み取ってご自分の町に戻られたのではないかと思う。

最終日には私たちも踊らせて頂いた。音楽とダンスと演劇で織りなす組曲「展覧会の絵」。3ジャンルにわたるコラボレーションは私たちも初めてで、ピアニスト中川賢一さん、演出家岩崎正裕さんと楽しい作業ができた。

誰かに喜んでもらえるものは、関わる人たちみんながそこに喜びを見いだしているという、勝手に思い込んでいる基本事項を再確認するに至った。

上田セッションに関わった全ての方々の、知恵と情熱と遊び心に敬意を表します。

(茉歩)

写真は、上田の山肌に稀に見られる「逆さ霧」。劇場のセントラルエリアから撮影してみた。