2016年7月10日(日)月齢4.7 / サントムッシュという事件 滞在報告その2

劇場男性職員だけのダンスチームがあれば素敵だろうなあと思い立って提案したのが昨年の夏。ぜひやってくださいと館長さんが快諾して下さったのは広島だった。艦長さんと言ってもいいほど、制服と操舵室の似合う館長さんを含め11名の男たち。もちろん部署も専門分野もさまざまで、共通しているのは舞台芸術を愛し町の文化興隆に貢献したいという使命感と酒の席もお好き、というあたり。

想像に漏れずどの人も多忙ゆえ、振付側と踊り手側のコミュニケーションは不定期のメールニューズ「ムッシュの掟」で取ることにし、本番に向けては一時間の全員稽古をたった3回で臨んだ。ここだけの話、既に異動された方も意気に感じて参集して下さったのだ。

ふだんは、シンプルなルールをもとに個々人に任せているパートも、今回は徹頭徹尾振り付け、覚えて頂いた。初回稽古のスタートはまずムッシュとしての源氏名をお互いに言い合う所からスタート。微笑ましかったのは二回目の稽古を待たず、改名した人が何人もいたこと。誤解を恐れずに言うならば、ノリは男子校。

晴れの初舞台は、地域創造の開催するステージラボ上田セッション全体交流会。大ホールホワイエには、この劇場の頼もしいテクニカルムッシュたちのしつらえる照明音響。大したことはできませんから、というのは謙遜で、サプライズではありながら客電が落ちるという粋なはからい。

本番が一番良い。というのは舞台に関わっていて常に願うことだが、まさにその通り。昨品タイトルは「ウエダカムダンス」。全国から集まったラボ参加者へのお出迎えとおもてなしの気持ちを込めたウエルカムダンスは、11人の男たちの熱い心意気として伝わったのではないかと思っている。

(茉歩)